自動車業界が抱えている大きな課題の一つに、メーカー、ディーラー、消費者間のシームレスなコミュニケーションが欠けていることが挙げられます。現在、デジタル技術の進歩と市場動向の変化により、自動車業界は大きく様変わりしています。デジタル化の急速な進展により、以前はハードウェア主体であった自動車業界が、ソフトウェアソリューション主体へと変わりつつあるのです。デジタル化構想は、効率を高め、時間とコストの削減をもたらし、最終的にはさらなるイノベーションへとつながる可能性を秘めています。自動車メーカーとディーラー間の効率化から、販売および販売後の顧客対応まで、デジタル化によって自動車業界全体の仕組みが新しい時代を迎えています。

リサーチ・アドバイザリ会社のガートナー社が実施した調査によると、今年行われるすべての顧客サービスのやりとりのうち15%がAIのみで処理されると想定されており、これは2017年と比べて400倍になります。

このようにデジタル化が目覚ましいスピードで進む中、自動車業界は今後どのような方向に進むのでしょうか?当社be one solutions のAPACリージョナル・ディレクター、Olli Kylänpääに話を聞きました。be one solutionsは、三菱ふそうトラック・バス、メルセデス・ベンツ、およびその販売代理店や、双日株式会社など、世界中の自動車および自動車関連会社に独自の統合ソリューションを提供しています。be one solutions が提供するSAP Business Oneは、シンプルでありながらパワフルなERPソフトウェアで、グローバルに展開する中小規模の運営効率を最大限に高めます。また、ディーラーマネジメントシステム(DMS)はディーラー管理をスムーズにするソリューションとして、好評を頂いております。

サプライチェーンを結ぶ

「SAP Business OneというERPを導入することで、自動車メーカーの子会社や販売代理店は、時間と労力の削減に成功しています。その一方で、ディーラーで何が起こっているのかは、ほとんど見えない状態でした。自動車メーカーとしては、ディーラーが希望する台数のみを生産するのが理想です。そして、その希望台数はディーラーの販売予測に基づきます。これまでは、主に毎月、Excelを使って注文台数の把握を行っていました。メーカーが、無数のディーラーから販売代理店経由で複数の予測数値が入ったExcelファイルを受け取る状況を想像すると分かるとおり、正確な販売台数を予測することは困難を極めていました。その上に、ガソリンからディーゼル、電気への変更などの技術的進歩が起きており、今までの古いシステムでは、その変化についていくことが難しくなっています」とKylänpääは述べています。be one solutionsのDMSは、すべての予測をオンラインで確認可能です。これは、SAP Business OneやS/4 HANAなどのSAP ERP製品を統合した独自のソリューションであり、これを導入することで、すべてのディーラーは、予測データを簡単に維持でき、販売代理店や、最終的にはメーカーにとっての完全な可視性も実現できます。

「当社のDMSは、販売代理店とディーラーネットワーク間の発注システムの連携にも使うことができます。ディーラーは販売代理店に多くの注文を出す傾向があります。これまでは紙の発注書を送り、それをERPに入力していました。しかし、be one solutionsのDMSでは、発注から納品、返品までのプロセスが完全にシステム連携されているため、データ入力の手間が省けます。このようなデジタルトランスフォーメーションは、リスクを軽減し、時間と労力を節約できます」とKylänpää は言います。つまり、ディーラー、自動車部品メーカー、カーアクセサリーやタイヤ販売店など、自動車業界全体がDMSを活用し、恩恵を受けることができるのです。

信頼できる唯一の情報元を確立する

もう一つ、デジタル化の効果的な活用の場面として、新車購入時のライフサイクルが例に挙げられます。「消費者がディーラーから車を購入した場合、これまでは販売代理店がその消費者情報を追跡するのは困難でした。販売代理店は、消費者に直接販売していないので、保証の開始日や終了日などの情報を知ることができなかったのです。新車のオーナーは、保証期間内であれば、対象のディーラーでサービスを受けることができます。しかし、販売代理店は、どのタイミングでそのディーラーに無償で部品を供給するすべきか分かりませんでした。be one solutionsのDMSは、ディーラー情報、購入日、保証の開始日や終了日、フィールドサービスにおける全履歴など、オーナー情報もすべての情報を可視化して把握することができる『信頼できる唯一の情報元』を提供します。SAP Business OneおよびSAP S/4 HANAと完全に統合されたエンドツーエンドのサービスであるDMSは、使いやすく適応しやすいソリューションです」とKylänpää は説明します。

自動車向けソリューション導入事例:HSTD 社、三菱ふそう

ハップセン・トラックス・ディストリビューション社(HSTD 社)は、課題を抱えていました。同社は、メルセデス・ベンツ・マレーシアの商用トラック事業を買収するために設立されましたが、成長するビジネスを支援するソフトウェア・パートナーを探していたのです。be one solutionsの自動車業界での実績を認めていただき、当社はSAP Business Oneを使った統合型ERPを提供しました。経営陣によるデータ分析を支援し、結果としてHSTD 社はビジネスに関する貴重な洞察を得ることができ、リソースを適切に集中させ、顧客をサポートできるようになりました。当社の提案したソリューションによってプロセスは簡素化され、さらに顧客サービスの飛躍的な向上に貢献することができました。

三菱ふそうトラック・バス株式会社は、新たに2つの子会社を設立する際に、当社を導入パートナーとして選択されました。新しい事業全体で効率的に動作する、シームレスで信頼性の高いソフトウェアを必要としており、さらにその2つの新拠点の現地の法律や規制を遵守することが必須でした。be one solutionsは、SAP Business Oneシステムを短期間で統合し、三菱ふそうに柔軟なソフトウェア・ソリューションを提供することができました。レポートは部門間で簡単にカスタマイズでき、現在、倉庫管理など他の分野にもシステムを拡大しています。

デジタルトランスフォーメーションは、自動車の初期設計から生産ライン、流通、小売に至るまで、バリューチェーン全体に影響を与えます。衝突回避や自律型緊急ブレーキのためのデジタル化されたシステムはすでに一般的になりつつあり、サイバーセキュリティからクラウドコンピューティングまで、あらゆるものを供給するテクノロジーの専門家の力が求められています。また、デジタル予知保全や3Dプリント部品などのアフターサービスも、将来の自動車販売を支援すると考えられます。次の10年では、CaaS(Car-as-a-Service、サービスとしての自動車)の形で、デジタル化がさらに進むと考えられており、デジタルを使いこなす消費者は、必要なときにアプリで車を呼び出せるようになるでしょう。私たちは、業界や産業構造を劇的に変える「破壊的イノベーション」を今、まさに目撃しています。自動車メーカーは、このような新しいチャンスを確実に捉え、利益を得るべきだと考えます。そして、be one solutionsは、自動車業界のデジタルトランスフォーメーションを全力で支援して参ります。

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