企業のエコシステムを守る:グローバルSAPロールアウトによるネットワークの強化
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Closeデジタルトランスフォーメーション(DX)が世界中で大きな関心を集めているテーマであることは事実です。しかし、デジタル化や技術的な能力は、効果的な組織を構築するプロセスの、ほんの一部に過ぎないということを忘れてはいけません。企業が成功するための最も基礎となるのは、今も昔も「人」なのです。機械学習や人工知能(AI)の分野は大きな進歩を遂げていますが、現在のビジネスに不可欠な機能の多くは、電子メール、電話、メッセージツールといった、既にみなさんが使い慣れた媒体が利用されています。関連子会社との統合を行う場合、現在のプロセスを考え、自社にとって適切な投資を行うことで、複雑なエコシステムへの移行を成功へ導くことができます。
企業は生きている
グローバル企業を客観的に見てみると、「生き物」であるという例えが当てはまります。フォーチュン500社のすべての企業は、最初は小さな組織としてスタートします。その後、ビジネスプロセスの進化、分割、子会社化など、市場環境に適応して成長していくのです。業界によっては、資源獲得競争が激しく、斬新な戦略が必要になることもあります。そして、それぞれの変化やプロセスの背後には、企業の生命線である人が存在し、会社という生き物を存続させるために貢献しているのです。
組織のエコシステムを守るために
健全なエコシステム(生態系)には、複数の生物による強い共生関係が必要です。複数の生物が一体となって進化していく中で、お互いに弱点を補い合い、基盤となるサポートサイクルが形成されていきます。グローバルSAPロールアウトを成功させるために最も重要なことの一つは、新しい関連子会社を既存のERP(エンタープライズリソースプランニング)システムとマスタービジネスプロトコルに適切に統合することです。
鍵となるのはコミュニケーション
人間の神経系が手足や臓器をつなぐように、統合が適切に実施されれば、グローバル企業はグループ会社すべてが同レベルの効率で機能することができます。しかし、エンドユーザーを意識した情報システムが導入されていなければ、何らかの障害が発生し、リソースの浪費や非効率化、従業員の士気の低下につながる可能性があります。
国際的な事業を構成する関連子会社、支店、本社の複雑なネットワークでは、文化の違いを考慮しながらも、明確な情報を伝達できる方法で、世界中でコミュニケーションを行う必要があります。そのためのツールとして、例えばERPシステムには強力な言語機能が搭載されており、同じインターフェイスを使い複数の言語でメッセージを伝えることができます。また、ユーザーアカウントを一元化し、コミュニケーションの権限を付与することで、異なる関連子会社間での情報やメッセージのやり取りをシームレスに行うことができます。デジタルソリューションへの投資は分析部門や財務部門だけのものではなく、全社的に効果的なコミュニケーションを促進するものでもあるのです。
行動変革の支援
人というのはソフトウェアとは違い、膨大な数の関連子会社ネットワークを構成する従業員を一夜にしてアップデートすることはできません。グローバルロールアウトの際に、従業員がすぐに適応できることを期待すると、ミクロとマクロの両方の視点において組織に悪影響を及ぼします。現実的なペースで、ビジネスプラクティスの変化を浸透させる時間を確保することで、組織として学習プロセスを尊重していることを従業員に示すことができます。
重要な移行期間中、行動変革プロセスを成功させるためには、SAPストラテジストやビジネスマネジメントの専門家がさまざまな部門をサポートすることが必要となってきます。関連子会社の統合によって培われる経験は非常に貴重であり、可能な限り活用すべきです。ウェビナーや参加型のトレーニングでは、従業員が、最新のプロトコルにまつわる不安や懸念を、経験豊富な専門家に伝えることができます。特にグローバルに事業を展開している企業では、関連子会社の統合にコンサルタントの専門知識を活用することで、多国籍企業の従業員に最新のプラクティスに関する一貫したメッセージを伝えることができます。
現地の取り組みを取り入れる
新規に関連子会社を買収する場合、その事業を徹底的に分析することが最も重要です。これは、非効率的な業務や本社のガイドラインに反する業務を特定するのに役立つだけでなく、現地の業務を維持・統合する絶好の機会となります。
企業の各部門が最適な事業を行うためには、同じビジネステンプレートに基づいて運営される必要があります。同時に、その地域特有の取り組みが成功につながっている可能性もあります。このような取り組みは、組織の文化やアイデンティティの一部として浸透しており、地域的に重要な理由で実施されていると考えられます。組織のアイデンティティとは、従業員が自分の職場とのつながりを感じることであり、これがしっかりと確立されていれば、パフォーマンスの向上につながります。従業員は、それぞれのニーズに沿った慣習が尊重されることで、認められている、さらに権限を与えられている、と感じるのです。本社は、統合の際にこれらの慣習も残すことで、より強固な企業間ネットワークを育成することができます。
新興市場では、会計、税務、法令遵守をめぐる地域の法律が急速に変化する可能性があります。このような地域で事業を展開している関連子会社の従業員は、潜在的な違反やコンプライアンス上の問題を、可能な限り迅速に解決するために、本社と密に連絡を取り合う必要があります。本社は、現地の経営陣とリアルタイムのコミュニケーションを保つことで、従業員が組織全体にとって価値ある存在であることを示すだけでなく、費用のかかる違反行為に対応できる準備を整えることができます。
パートナーシップを重視する
関連子会社の統合プロセスで影響を受けるのは、従業員だけではありません。既存の顧客やビジネス関係者に対しても対応が必要です。そして、移行期間中に追加のサポートを提供することが、戦略的なパートナーシップを維持する鍵となります。具体的には、新しい業務に関する最新情報をメールなどでお知らせするだけでなく、顧客と直接会ったり、ビデオ会議などで連絡を取り、相手が持っている懸念事項を解決できるようにすることが重要です。問題解決策として効果的になるだけでなく、ビジネスパートナーや顧客と情報を共有することで、ネットワークの重要な一員であることを示すことができます。
数多くの2層ERPシステムのグローバルロールアウトを成功させてきたbe one solutionsは、従業員から顧客まで、デジタルトランスフォーメーションにおける「人」をサポートすることがいかに重要かを理解しています。be one solutionsでは、グローバル企業の統合を成功させるために必要な情報を発信しています。当社のSNSをフォローし、ぜひ最新情報をご確認ください。